2017年4月16日日曜日

奴隷について考える

気がつけば4月も半ば。ティーチングアシスタントやリサーチアシスタントの仕事でとても忙しく過ごしていました。今年の夏か年末までに卒業を考えています。博士論文は分析が終わり、結果と考察を書いている最中です。就職が決定してから卒業しようと計画しています。

卒業でニューオーリンズを去る前に今まで行ったことのなかった動物園に行ったり、ミュージアムに行ったりしています。

今日はWhitney Plantationを訪問しました。車で1時間ほどのニューオーリンズの郊外にあります。プランテーション(大農園)はアメリカにおける奴隷の歴史を学ぶ上で重要な場所です。以前のブログ(12 Years a slave それでも夜は明ける)でプランテーションで働く奴隷についての映画をみたことを書いています。映画を観た後からずっとこのWhitney Plantationを訪問したいと考えていました。

本日訪問したプランテーションの奴隷の多くはアフリカのセネガルから連れられてきた人々です。ニューオーリンスの港で売り買いをされ、このプランテーションで強制労働させられることになった奴隷の家やオーナーの家などを見ることができました。ツアーガイドさんがとても熱心に勉強されている方で奴隷がどのように生活してきたのかなども詳しく話を聞くことができました。

アメリカにはたくさんのプランテーションがあり美しいプランテーションオーナーの家をミュージアムのように一般公開しているのですが、驚くべきことに全米でこのWhitney Plantationのみが奴隷問題に焦点をあて奴隷の家や牢屋などを公開しています。このWhitney Plantationがミュージアムとしてオープンしたのは2014年12月。とても最近のことです。

 Whitney Plantationのオーナーの家。17世紀に来たドイツ人移民一家だそうです。

奴隷たちが暮らしていた小屋の近く

 奴隷の家入口

奴隷の小屋の中(とても狭くベッドとテーブルぐらいしか入りません)

奴隷の牢屋。奴隷が売られる前にニューオーリンズの港で使われたり、プランテーションの中でも脱走した奴隷を閉じ込めるためになどとして使われたそうです。服もなく裸で動物のように扱われたとガイドさんが語っていました。

プランテーションの中で若くてかわいい奴隷の女の子たちはきれいな服を身に着け、オーナーの家で過ごすことができたものの、オーナーやその訪問者たちの性のおもちゃとして扱われたと説明されました(まるでみた映画の内容そのもの)。

最後の写真は衝撃的で少し閲覧注意です。ニューオーリンズ郊外で脱走し蜂起をたくらんだ200人近くの奴隷が警察やオーナーによって斬首された事件があったそうです。そのメモリアル像たちです。怖い。。。


同じ人間が行ったとは思えない奴隷制度。今では考えられません。アメリカに長年住んでいるとよくわかるのですが白人と黒人の貧富の差は目でみても明らかです。奴隷制度が廃止されても読み書きも何もできなかった奴隷達が白人と同じように人生を再スタートしても、白人には追いつきようがありません。

一日訪問してたくさんのことを考えさせられました。今からニューオーリンズに訪問される方にはこのWhitney Plantationの訪問をお勧めしたいと思います。

2017年3月12日日曜日

学校、職場での搾乳について考える

国際女性の日に大学院で、母乳で育てるお母さんの搾乳について考えるというセミナーがありました。社会学部の教授の研究プレゼンだったのですが、このセミナーに参加するまで搾乳についてじっくり考えたことはありませんでした。

そのセミナーの大きなテーマは搾乳をしているお母さんの思いというものでした。
研究の対象になったのはチュレーン大学内で働く教授、スタッフ、勉強する学生の中で赤ちゃんを完全母乳で育てるために学内で搾乳をしている方々(30名ほど)です。

ここでなぜ完全母乳と搾乳が関係があるか説明します。

多くの方がご存知のように国際保健機関では生後6か月まで赤ちゃんを母乳のみで育てることを推奨しています。これを完全母乳といいます(略して完母)。母乳にはたくさんの栄養や病気を防ぐための抗体が含まれているためです。6か月以降も離乳食を導入し、可能であれば2歳くらいまで母乳を推奨している国が多いです(以前投稿したIYCFのブログをご覧のとおり、赤ちゃんと乳児の栄養についてリサーチアシスタントして研究をしてきたのでこの分野は人より詳しいです)。

その完母を続けるにあたり、働くお母さんたちは職場や学校で一定時間を空けて搾乳をする場合が多いです。胸が母乳で張ることや搾乳し続けなければ母乳が止まっていまい完母ができなくなることがあります。

話の内容をもとに戻します。今の大学では6週間の産後休暇が一般的で、職場に復帰し搾乳をする方がたくさんいます。大学には10数か所以上Lactationルームと呼ばれる母乳の部屋が設置されています。赤ちゃんに母乳をあげたり、搾乳ができる部屋です。

そのLactationルームや職場のオフィスで搾乳をすることをどう思うかが研究内容だったのですが、インタビューに答えた多くのお母さんが赤ちゃんのために搾乳することは使命であるし最低1年を続けることが私のゴールであるという声が多数でした。搾乳は苦痛ではないという人がいた一方で、うまく搾乳ができない、ストレスという負の意見もあり研究のインタービュー中に泣き崩れてしまうお母さんが結構いたそうです。

印象だったのは6か月の赤ちゃんを育てる医学生のお母さんは病院実習中に時間通りうまく搾乳できず、指導者の医師に搾乳したいと言えずどうしたらいいのかわからないと泣き出したという話でした。

気がつけば私の仲がよいPhDの同期もみんなで総合試験の勉強中搾乳をしによく席を外していたなと思います。タイの研究所でもオランダ人同僚の医師は難民キャンプで堂々と搾乳していました。

ふと考えてみたのが日本では搾乳って一般的なのかどうか。

赤ちゃんを育てる日本居住する数名の友人のうち、全員6か月以上の育休をとっているか職場を退職しています。子どもが1,2歳になりパートで復帰というパターンが結構多いです。おそらく私の友人たちは職場などで搾乳したことはないと思います。そして私の中で日本でLactation Roomがある企業ってどのくらいあるのか疑問です。

もう5年以上前になりますが少なくとも今まで勤めた病院にはLactation Roomなんてなかったような気がします。気になって日本語でインターネットでも”職場での搾乳”について検索した結果、職場で搾乳専用の部屋がない、上司に搾乳するために職場を少し抜けたいと相談すると長く育休をとるように勧められたなどの多くのマイナス意見がありました。

なんて後進国なんだ日本。。。

アメリカでは子どもを産んで仕事を辞めてしまう、パートになるお母さんは少ないと思います。今の大学院内でも最近女性の教授(42歳!ちなみに彼女の初産は38歳でした。大学院では晩産が普通です)が春に3番目の赤ちゃんを出産する予定であることを知りました。もちろん彼女は産後休暇後復帰します。2番目の赤ちゃんと同様に職場で搾乳されると思います。よく2番目の赤ちゃん出産後にはオフィスの前に( Please don't disturb. I'm pumping:搾乳中なので訪問ご遠慮ください)と書かれていました。

日本もキャリアを中断したくないお母さんたちのために搾乳専用の部屋を職場で設けることを法律で義務化したり、お母さんたちがいつでも気軽に搾乳できる環境を作ればと思います。女性が輝く日本と掲げるのであれば早期の職場復帰、搾乳を推進しないとだめだと思う今日この頃です。

こういう貼り紙が日本中の職場にあればいいのになあ。




2017年3月1日水曜日

学力の差はなぜうまれるのか

ティーチングアシスタントとして修士課程の学生さんたちのクラスを受け持つようになり思ったことがあります。なぜ学力の差が生まれるのかです。それはやる気だと思います。

TAアワーと言われるティーチングアシスタントのオフィスアワーがあります。修士の学生さんは私にアポを事前にとらなくても、オフィスアワーの時間帯であれば誰でも宿題や試験について私に聞くことができます。

そのTAアワーに来る学生さんはほとんどと言っていいほど成績がよい学生さんたちです。宿題、試験でも満点が取れるような人たちが多く優秀です。一方宿題でも試験でも70%以下の点しか取れていない学生さんほどTAアワーや教授のオフィスアワーに現れません。私がもし70%しか点数が取れていない学生だったらTAアワー、教授のオフィスアワーに毎回出現すると思うのですが、そうではない学生さんが結構います。おそらく彼らは単位を取れればよいかぐらいなやる気なんだと思います。高い学費を払っているのに中途半端な理解力で卒業するのは不安ではないかと不思議です。

私にとって英語は母国ではないのですが、理解力は語学の問題ではないのだなとアメリカに来てから感じます。要は本人のやる気かなと。日本人として米国の大学院に留学し、母国語じゃない英語で勉強についていけないのではないかと不安に思う方が多いかと思いますが、TAアワーや教授のオフィスアワーを利用ししっかり予習、復習すればアメリカ人よりもいい点が取れます。アメリカ人でない私もGPA3.7以上を修士も博士も取ることができました。やる気、忍耐、行動力があれば日本人でも優秀な成績で卒業できると思います。

下の動画は私の好きな教育に関するTEDトーク。日本の字幕もあると思います。




2017年2月19日日曜日

竜巻後のニューオーリンズ東部

2月9日に巨大な竜巻が発生しニューオーリンズ東部を襲いました。ニューオーリンズ東部は黒人やベトナム移民が住む貧しい地域です。ハリケーンカトリーナでは多くの死者がこの地域からでました。リサーチアシスタントの関係で博士課程では東部に何度も訪問しています。

今日は東部を訪問し、教授のマーク先生と職場の同僚達と瓦礫の撤去を手伝うボランティア活動に参加しました。

被害にあったのは600件の家屋で、その半数が半壊です。幸いなことに死者はありませんでしたが被災地の光景は東日本大震災を思いだすような悲惨な光景でした。




私が住む地域は都会でビルがたくさんあり、竜巻が襲うことはありませんでしたが、空き地が多い東部はたくさんの被害がでました。竜巻がニューオーリンズを襲うことはめったにありません。地球温暖化が竜巻発生につながっているのだろうと専門家は伝えています。

一日でも早くニューオーリンズ東部が復興しますように。


2017年2月12日日曜日

面白すぎるサタデーナイトライブ

ヒラリー氏とトランプ氏の選挙討論戦から観ているサタデーナイトライブ。Saturday Night Live (SNL)はアメリカのニューヨークで収録されているお笑い番組です。5-10分の短編のお笑いコントを土曜日に何作も放送しているのですが、完成度が高い!いつも大爆笑してみています。オンラインですべて見れます。YouTubeでSubscribeしています。

お気に入りのシリーズは政治に関するコントです。俳優のAlec Baldwinさんのトランプ氏のコントは傑作です。トランプ氏がかわいく見えてくる(苦笑)。



先週の報道官Sean Spicerのコント最高でした。

悲しいかなトランプ政権がこんなにエンターテイメントを提供してくれるとは思ってもみなかったです。YoutubeでSubscribeできるのは米国内だけかもしれません。第三者がコピーしているものは日本でもみれるかも。そしてSNLは字幕がないので英語を勉強し始めたビギナーには難しいかもしれませんが楽しみながらする英語の勉強にはおすすめの番組です。

2017年1月28日土曜日

移民を受け入れる国、アメリカ

春学期がはじまってから忙しく毎日を過ごしていました。この学期は前半にティーチングアシスタント(TAとも言われる教授の授業補助。担当クラスは国際保健のモニタリングのクラスです)、リサーチアシスタント、博士論文の執筆を同時進行しているので毎日忙しく過ぎ去っています。

トランプ氏が就任してからおよそ一週間が経ちました。次々と大統領令に署名するトランプ氏。トランプ氏が大統領に当選してから大学本部や大学の留学生オフィスから「この選挙で動揺している学生がいると思いますが、大学は君たちと一緒です。精神的カウンセリングが必要な場合はXXXXまで電話してください。」とEメールをもらったり、今日は留学生オフィスから「トランプ大統領が新たに移民令に署名し、出身国によって学生のアメリカへの入国が制限される可能性があります。ここ数日間、留学生はアメリカから出国することを控えてください。入国できない場合があります。アメリカ国内でも外出時は身元証明書を常に持参してください。」などの通知をもらったりします。なんだかアメリカ、大変なことになったなあと肌で感じています。

どの米国のメディアでもトランプ氏のニュースは毎日トップなのですが、その中でも特に気になるのは中南米からの移民についてです。

トランプ氏の公約のひとつであるメキシコとアメリカの国境に大きな壁を作り、不法滞在している移民(特に中南米出身)を強制送還させるという話があります。それに沿ってNew Yorkタイムズで不法移民としてメキシコからアメリカへ両親とともに幼い頃に渡り、給付の奨学金をもらい大学まで進学した女の子の話が書かれています(‘The Only Way We Can Fight Back Is to Excel’)。記事では彼女のお母さんが南部のアメリカの州で運転をしているときに事故を起こし、運転免許証と合法なパスポートを持たないためお母さんだけ強制送還されそうになった時の話や、トランプ氏が大統領になって女の子が今後アメリカで勉学を続けていくことができるのか不安であるという内容が書かれています。

この女の子だけでなく、アメリカに住む多くの不法移民はトランプ氏の政権に不安を感じていると思います。ニューオーリンズにも不法で滞在している中南米からの移民がたくさんいます。多くの人が低賃金でレストランや清掃業で働いています。

このNew Yorkタイムズの記事を読んで驚くべきことに厳しい意見がたくさんありました。記事の中で一番多かった一般読者からのコメントは「法律で定められているのだから不法滞在は許されるべきではない。法律は破るためにあるものではなく強制されるものである。」というコメントです。

私は記事を読みながら私自身に問いかけていました。答えは未だわかりません。

日本でも似たような事例がつい最近ありました。タイ出身の母親が不法滞在中に男の子を生み、男の子が成長し10代まで日本に滞在し続け、男の子自身が日本でこのまま大学へ進学するための裁判を起こすというニュースがありました。結果は敗訴でした。

私もどの国でも法律は守られるべきだと思います。ただ私がメキシコやグアテマラ出身だったらアメリカ国境を命がけで渡り不法滞在するかもしれません。悪いと思っていてでも。タイとミャンマー国境を渡るミャンマーからの不法移民も同じ環境です。

それはアメリカやタイという先進国の方がお金を多く稼ぐことができ、安全でよい教育、保健医療を受けられるチャンスがあるからです。世界の不平等な状況が続き、グローバル化が進む今、この問題を解決するのは難しいでしょう。

5-6年前に観た映画「闇の列車、光の旅」は中南米出身の移民がどのようにしてアメリカに渡ってくるのかをとらえた映画です。移民問題に興味がある方はぜひチェックしてみてください。



2017年1月5日木曜日

Hacksaw Ridge

新年あけましておめでとうございます。映画のタダ券をいただき、新年早々にHacksaw Ridgeという映画を夫と一緒に観に行きました。この映画は今年の夏頃に日本で公開される予定です。


第2次世界大戦の沖縄地上戦を舞台とした映画でメル・ギブソンが監督をつとめています。アメリカ人の視点で描かれており、沖縄で武器をひとつも持たずに何十名もの負傷したアメリカ兵士を助けたデスモンド・ドス衛生兵士の物語です。ドス兵士役のアンドリュー・ガーフィールド(スパイダーマンの主役をしていた俳優です)の演技がとても自然で映画に引き込まれてしまいました。実際にあった話でドス兵士はのちにアメリカの大統領から名誉勲章をもらっています。

まず映画の主人公ドス兵士。彼は戦場で犠牲になる米国兵士を救うためにメディック(看護衛生師)になるのですが、戦場に行く前にミリタリーキャンプで兵士としての訓練を受け、武器として銃を持つように大佐から指導を受けます。しかし彼はプロテスタントのキリスト教徒で、武器を使って身を守り、まして敵の兵士(日本兵)の命を奪うのは神の教えに反すると意志を曲げず、周りの同僚、上司からいじめを受けても屈することなくそのまま戦場の沖縄へ行きます。

想像を絶するほど残酷で悲惨な沖縄での戦場。周りの同僚兵士がつぎづきと撃たれけが負い、生死をさまようなかで武器ももたず、自分の命を顧みずに他人の命を助けるために戦火を走るドス兵士。

私の英語のリスニングが正しければ、ドス兵士は負傷し生きのびた日本人兵士をも映画の中で助けていました。

私はこの映画の中で信仰の有無に関わらず、他人の命のために危険までおかして最後まで自分の信念を貫き通すことについて考えていました。今、私はFaith(信念、誠意)を持って人のために何かできるだろうか。難民の健康のために博士課程まで進学し公衆衛生を勉強しているけれど、名誉や地位を考えるのではなく、どうすればよいかFaithを持って戦火や迫害から逃げてくる難民のために今後の私の人生を生かすことができるのかと考えていました。

この映画が日本で公開されれば日本人の方々の感想が気になります。おそらく沖縄で犠牲になった日本兵のことにほとんど触れられていないので、残念だと思う方はいるかもしれません。ただこの映画は戦争の醜さや残虐さが痛いほどに鮮烈に伝わってくる作品であり、暴力だけの世界では悲しみしか生まず、他人を思う気持ちの尊さを問いかけてきます。気になる方はぜひご覧ください。こちらのリンクはハクソーリッジの予告