2017年12月9日土曜日

アメリカの戦争

ニューオーリンズを去る日まで、あと残り10日間です。ニューオーリンズはここ数日寒く今日はついに雪が降りました!4年半ニューオーリンズに滞在し初めて雪をみました。アメリカ南部に寒波が到来し寒いです。

ここ一週間から旅立ちの日まで送別会続きです。今日は職場でランチ送別会があり教授や同僚、友人等を合わせて20人近くの方に博士号取得と就職決定のお祝いをしてもらいました。送別会後もあまり旅立つ実感はありませんが、たくさんの方に今まで支えられてきたことを改めて実感する送別会でした。

アメリカを去るので郷愁に浸ってみるのかと思いきや、本日はアメリカの戦争について語りたいと思います。1か月に1-2冊は本を読んでいます。11月末から今日まで読んでいた本が良書で今年私が読んだ中でベスト本だったと言っても過言ではありません。たまたま図書館で手に取ってあまり期待していない本だったので、買ってもう一度読もうか考えているところです。

タイトルは「The American War in Vietnam」(ベトナムであったアメリカ戦争)という本でCortlandにあるニューヨーク州立大学の名誉教授John Marcianoが著者です。



書籍は2012年5月オバマ前大統領のベトナムで亡くなったアメリカ軍兵の追悼する記念日を2025年の終戦50周年まで行いましょうという発表から始まります。それに対し著者は追悼記念日というのはおかしい、アメリカのベトナム戦争は国際犯罪なのではという投げかけからはじまります。

著者は第2次世界大戦後、ベトナムのフランス植民地独立運動からベトナム戦争終戦まで歴史的記録をアメリカのニュースやジャーナリストの記録だけでなく、ベトナム人、アメリカ軍兵、その他の国出身のジャーナリストの記録などなど様々なソースから分析しています。

現在アメリカが世界各地(特にイラク、アフガニスタンなど)で関わっている戦争もこのベトナム戦争と同じNoble Cause(崇高な理由)でいつも始まっていると見解しています(この点はこの本を読む前から私もずっと思っていました)。アメリカは世界警察かのように正義を訴え他の国の政治に絡み、ややこしくしている。戦争をすることで金儲けや政治家の思うようにしているということです。

フランスの植民地から独立直後、北ベトナムは1954年に共産主義の政党が政権を取ります。簡単に言えば共産主義はだめだ!ソ連や中国がついてバックについている。民主主義を進める南ベトナムを支援しようということからアメリカのベトナム戦争がはじまります。実は独立直後に他の国がベトナムの後ろについていた正確な記録はありません。また北ベトナムがアメリカの海軍を襲ってきたという理由に北ベトナムに戦争をしかけます。その北ベトナムが海軍を襲ったという記述も実は確かな記録が残っていません。

最終的には1954年から1975年までベトナム戦争が続き何百万人ものベトナム人が亡くなっています。およそ20年間の戦争中に南ベトナムを率いる政権が北ベトナムと和解し共産主義の国家として成立しようと会談を持ち掛けるも、アメリカが何度かその会談の機会を意図的につぶしています。

アメリカ兵が南ベトナムにあるMy Lai、立て続けにMy Kye村に住む何百人もの住民を虐殺したり、Agent Orangeという枯葉剤で400万人もの一般市民の健康に影響を与えたりしていたことなどはアメリカ本土ではあまり語られないと著者は訴えかけています。

興味深く一気に読みました。書きたいことがたくさんあり過ぎて書けませんが、一番印象に残っていることを最後に書きたいと思います。

ベトナム人で1973年に平和協定にサインし、後に教育大臣になったMandame Nguyen Thi Binhさんの意見書の中でベトナム人のアメリカに対する抵抗は理にかなったものだったと発言しています。なぜなら ベトナム人には他の国の仲介なしに自分の国の政治体制を選択する権利がある。アメリカはその権利を奪おうとしたので、抵抗せざるおえなかったと語っています。

書籍によるとアメリカは1776年から239年間のうち222年間戦争中であるということです(この戦争中のはアメリカ国内の内戦のみでなく、ベトナムやアフガニスタン、イラクなど様々な国で軍事介入を行った戦争を含みます)。

日本に帰る前にもう一冊読もうと思います。We crossed a bridge and it trembled: voices from Syriaという本です。著者であるノースウェスタン大学のWendy Pearlman先生の講演を聞き興味を持ち買いました。アマゾンレビューでもお勧めな本らしいです。


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