トランプ氏が就任してからおよそ一週間が経ちました。次々と大統領令に署名するトランプ氏。トランプ氏が大統領に当選してから大学本部や大学の留学生オフィスから「この選挙で動揺している学生がいると思いますが、大学は君たちと一緒です。精神的カウンセリングが必要な場合はXXXXまで電話してください。」とEメールをもらったり、今日は留学生オフィスから「トランプ大統領が新たに移民令に署名し、出身国によって学生のアメリカへの入国が制限される可能性があります。ここ数日間、留学生はアメリカから出国することを控えてください。入国できない場合があります。アメリカ国内でも外出時は身元証明書を常に持参してください。」などの通知をもらったりします。なんだかアメリカ、大変なことになったなあと肌で感じています。
どの米国のメディアでもトランプ氏のニュースは毎日トップなのですが、その中でも特に気になるのは中南米からの移民についてです。
トランプ氏の公約のひとつであるメキシコとアメリカの国境に大きな壁を作り、不法滞在している移民(特に中南米出身)を強制送還させるという話があります。それに沿ってNew Yorkタイムズで不法移民としてメキシコからアメリカへ両親とともに幼い頃に渡り、給付の奨学金をもらい大学まで進学した女の子の話が書かれています(‘The Only Way We Can Fight Back Is to Excel’)。記事では彼女のお母さんが南部のアメリカの州で運転をしているときに事故を起こし、運転免許証と合法なパスポートを持たないためお母さんだけ強制送還されそうになった時の話や、トランプ氏が大統領になって女の子が今後アメリカで勉学を続けていくことができるのか不安であるという内容が書かれています。
この女の子だけでなく、アメリカに住む多くの不法移民はトランプ氏の政権に不安を感じていると思います。ニューオーリンズにも不法で滞在している中南米からの移民がたくさんいます。多くの人が低賃金でレストランや清掃業で働いています。
このNew Yorkタイムズの記事を読んで驚くべきことに厳しい意見がたくさんありました。記事の中で一番多かった一般読者からのコメントは「法律で定められているのだから不法滞在は許されるべきではない。法律は破るためにあるものではなく強制されるものである。」というコメントです。
私は記事を読みながら私自身に問いかけていました。答えは未だわかりません。
日本でも似たような事例がつい最近ありました。タイ出身の母親が不法滞在中に男の子を生み、男の子が成長し10代まで日本に滞在し続け、男の子自身が日本でこのまま大学へ進学するための裁判を起こすというニュースがありました。結果は敗訴でした。
私もどの国でも法律は守られるべきだと思います。ただ私がメキシコやグアテマラ出身だったらアメリカ国境を命がけで渡り不法滞在するかもしれません。悪いと思っていてでも。タイとミャンマー国境を渡るミャンマーからの不法移民も同じ環境です。
それはアメリカやタイという先進国の方がお金を多く稼ぐことができ、安全でよい教育、保健医療を受けられるチャンスがあるからです。世界の不平等な状況が続き、グローバル化が進む今、この問題を解決するのは難しいでしょう。
5-6年前に観た映画「闇の列車、光の旅」は中南米出身の移民がどのようにしてアメリカに渡ってくるのかをとらえた映画です。移民問題に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
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