2015年7月6日月曜日

カレン族の今@ヒューストン

金曜日と土曜日の1泊2日間、ヒューストンに滞在していました。無事に倫理委員会から研究許可がおり、調査が始まりました。今回の滞在目的はカレン族出身のリサーチアシスタントとともにカレン族家族のお家を訪問し、質問表をもとにデータ収集をチェックするというものです。

4軒のカレン族のお家を訪問したのですが、彼らが直面する問題の大きさに撃沈してしまいました。

どの家庭も非常に貧しく、メディケイドというアメリカ版生活保護を受けていました。そのメディケイドの更新方法がわからずリサーチアチスタントに助けを求める場面もありました。

訪問したひとりのカレン族のお母さんは話しの途中で泣き出してしまいました。英語は全く喋れず隣人の黒人やメキシコ人たちにからかわれる、カレン語すら読み書きもできない、毎月家賃が払えるか不安で育ち盛りのこどもに満足にご飯を食べさせあげることもできない。難民キャンプでは困ったときは家族、親戚、友人に頼ることができたのに今は誰も頼る人がいないと等々。

このカレン族の家族らが住む地域は実はあまり治安がよくなく、今まで少なくとも2人のミャンマー出身の難民が強盗に合い射殺されるという事件がありました。私がここに住まなければいけないと言われたら精神的に参りそうです。

最近は難民を支援するNGOの活動が手薄になっており、難民がアメリカに到着したら必ず受けなければいけない語学学校についてNGOから案内されることもなく、語学学校に通ったことがないカレン族難民もいました。ヒューストンがあるテキサス州だけで年間7000人近く世界各地から難民を受けいれているのでNGOが多くの難民の生活をフォローしきれていないのかもしれません。

また今回の滞在で考えさせられたのは、精神疾患についてです。難民キャンプの中やミャンマー国内で診断を受けることなく、アメリカにきて統合失調症と診断された人がいました。その統合失調症を持った患者さん家族は渡米後症状が悪化し大変だったそうです。

難民がよく抱える心的外傷ストレス障害と判断が見分けにくいのですが、精神疾患や知的障害をもって渡米する難民も実は結構いるのではと思います。難民キャンプやメータオクリニックでも受診し適切に精神疾患の診断を受けている人はどれくらいいるのだろか疑問です。

また悶々と考えていたのですが、私もアメリカに初めて住み始めた当時ホームシックにかかり今だから言えるのですが、早く日本に帰りたく仕方ありませんでした。しかし難民として渡米してきた彼らにはもう帰る場所はなく、アメリカで第2の人生を歩むしかないのです。ジャングルの国内避難民エリアに産まれ、内戦で家族や友人を失い、教育の機会も失った彼らにとってアメリカでの新しい人生はそう簡単なものではありません。

世界の不公平さに憤りを感じ、何もできない自分に虚しさを感じてしまいました。

写真はヒューストン空港内と調査を行うリサーチアシスタントとカレン族のお母さん。ひざには3歳のお子さんを抱えています。

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