私の所属する研究所が運営している村がタイとミャンマーの国境にそれぞれ1か所ずつあります。
その村に入居すると数カ月間しばらく出れません。人里離れたところにその村は存在します。
名前は結核村(通称:TB village)。
結核の治療は通常6か月かかります。多剤耐性結核を発症した患者さんも村に住んでおり、中には2年ほど住んでいる人もいます。
この結核村に住んでいるほとんどの人がミャンマーとタイを行き来するミャンマーの移民です。正式なパスポートや労働許可書を持たず、タイの保険システムからも除外され、研究所が運営する無料の結核治療を受けています。ミャンマーのカレン州とタイのタック県の患者さんが中心です。
この村では、衣食住も無料。患者さん用の農地もありとてものどかです。
のどかな村の裏にはいろんな問題が潜んでいます。
まず疫学的にミャンマー、タイで結核は大きな問題です。両国はWHOの結核蔓延大国22か国リストに入っており、とりわけミャンマーは東南アジアで多剤耐性結核の有病率が一番高いのです。一時2006年に世界基金が出したレポートでは国民の40%が結核(潜在性の結核も含め)に感染しているであろうと報告しています。
またその中でも結核の有病率が高いのはミャンマーからタイへ移動してきた移民と言われています。タック県に住むタイ人とミャンマー人の多剤耐性結核の患者の内訳を比較したところ、ミャンマー人の割合が70%を占めていたという論文もだされています。
移民の多くが長期に渡り同じ病院施設で治療を受けることが困難であること、経済的に家族を支える必要があり早く治療を終わらせたいがために症状がよくなれば断薬してしまう人がいることなどいろんな要因が移民患者の治療を難しくさせています。
結核についてもっともっと書きたいことがあるのですが、今日はこのへんで。。。
厚みのあるいい仕事をできるように、この結核問題の改善に貢献できるようInput、Output、Outcomeをしっかりしたいと思います。
最近思うこと。博士課程進学は1年延期になってしまいましたが、興味ある仕事ができるのは最高に幸せで、やりがいがあるなと感じるこの頃です。
2013年10月28日月曜日
2013年10月18日金曜日
バンコクなう。
今バンコクです。WHOとタイの保健省が主催する、結核国家戦略会議に参加していました。
研究所の職員としてバンコクの会議に行くのははじめてです。
そしてこともあろうに研究所から私一人が出席です。相方のビルマ人医師(結核専門)が別件があったために、「あいこ、行って来い!」と言われ一人飛行機にのってバンコクに来ました。
メソトでWHOと保健省が視察に来ることはあったのですが、自分からバンコクの会議にでるのは初めてで新鮮でした。
なんと一番新鮮だったのは、同時通訳のイヤホンを渡されたこと!!タイ人がタイ語で話すと英語の通訳がイヤホンを通して流れ、英語で国際スタッフが話すとタイ語になるという仕組みです。
WHOさすがです。coffee breakもfree lunchも豪華です。
今回の会議でこの結核のための国家戦略プランを修正するために、結核関係者(NGOやGO、大学研究機関等)が招待され、意見を交わすという内容でした。
私も数回挙手をして、うちの研究所の結核政策やメータオの経験から垣間見た意見を言いました。は~緊張した。。。欧米からのNGO職員やWHO職員は流暢な英語で意見を言うのに対し、私のはジャパニーズイングリッシュ。でも会議で静かに聞いているだけではあかん!と思い、勇気を出してジュニアですが意見を言わせてもらいました。
結核政策関連の文献等を毎日読みあさっています。スポンジのように書いていることを吸収せねばと思う毎日です。
来月研究所の所長さんがイギリス出張から帰ってくるので、それまでに仕事のプロポーザルの最終まとめをしなければいけません。奨学金の応募もはじまっているので、がんばらねば!
2013年10月6日日曜日
新しい仕事
久しぶりのブログ更新です。8月末、ヤンゴンの某国際機関でインターンor短期コンサルとして働く予定だったのですが、先方の予算の都合で仕事が延期されてしまいました。
さてどうしようかといろいろ就職活動をしていたところ、やっと仕事が決まり、タイのメソト郡でまた働き始めました。新しい職場はマヒドン大学オックスフォード大学熱帯医学研究所のフィールド研究所、ショクロマラリア研究所という医療研究機関です。結核政策にかかわる研究員として活動をはじめました。
この研究所、長らくメソトに以前住んでいたにも関わらず、何をやっているか全く知りませんでした。
研究所、就職活動先とも全く考えておらず、たまたま研究所の所長さんとタイ・ミャンマー国境の結核政策について話すことがあり、
所長さん:「結核の政策について研究員としてうちで働いてみない?給料はだすし、うちから論文をだせばいいから。Aikoの博士課程でも僕がスーパーバイザーになって論文みてあげよう。」
私:「え?え?今何っていいました?」
所長さん:「うちで働かないかっていうジョブオファー!」
私:「えー!!本当ですか!」
という感じでインフォーマルに仕事のオファーをいただきました。
今ではデスクとコンピューター、E-mailアカウントももらい、新しい職場で仕事をはじめたんだなと実感しています。
上司の所長さんはフランス人でおちゃめなおじさんです。所長さんも私と同様自転車に乗って、研究所まで来てます。オックスフォード大学のフランス人教授が自転車こいで、職場に来るとは親近感わきます。
研究所はマラリアやその他の感染症の臨床研究のみならず、ミャンマーカレン州、またタイ側で難民、移民向けの無料クリニックを運営しています。
研究所内だけでなく、難民キャンプ内にもラボ(実験室)があります。新しい治療だけでは、タイ・ミャンマー国境の健康問題は解決せず、公衆衛生的アプローチの必要性から私が雇われたようです。
研究所内だけでなく、難民キャンプ内にもラボ(実験室)があります。新しい治療だけでは、タイ・ミャンマー国境の健康問題は解決せず、公衆衛生的アプローチの必要性から私が雇われたようです。
私の仕事はメータオ・クリニックやその他のNGO医療機関、研究所が運営する結核村、ミャンマー国内の医療機関、タイ内の医療機関、政府機関等の連携について考え、話し合いを持つのが私の役目です。
仕事を通じて今のところQualitative Study(質的研究)をする予定なのですが、この国境の結核問題に少しでも解決策を見出すことができるよう仕事をしていきたいと思います。
仕事を通じて今のところQualitative Study(質的研究)をする予定なのですが、この国境の結核問題に少しでも解決策を見出すことができるよう仕事をしていきたいと思います。
研究所が運営する結核村の写真。結核村とはなんなのか?また説明します。
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