分析が終わり、博士論文の結果を書いています。論文を書きながらリサーチアシスタントとして2つのプロジェクトに関わっているので毎日慌ただしいです。
1つはマーク先生のハリケーンカトリーナに関連したベトナム移民のプロジェクトでデータコレクション(インタービュー)やデータマネージメントに関わる仕事です。同じプロジェクトで働く助教の先生が育児休暇を2か月取りはじめたので彼の仕事を私が代行でやっています(ちなみに働く男性が育休を取るのが当たり前になっているアメリカはすごい!)。
もうひとつは大学院の先生とともにUNAIDS(国連連合エイズ合同計画)のコンサルの仕事をしています。モロッコに住む女性のセックスワーカーについてのプロジェクトなのですが最近している仕事の中で最も面白いプロジェクトです。どっちの仕事の内容もまた時間があるときにブログに書ければと思います。
今日のテーマはPhD課程のABDについてです。PhDの学生にはABDと呼ばれるステータスにいる人がたくさんいます。私もその一人です。ABDとはAll but dissertationという略語でコースワークと総合試験は終了したけど博士論文は書き終えていない人たちのことを指します。ABD期間に論文を書くのが嫌になり鬱になる人結構います。
ABDの期間が長くなり、なかなか卒業できない人たちの原因は
①パートタイムやフルタイムワーカーとして仕事をしながら論文を書くのが難しい。
②論文を書いた経験がなく時間がかかる。または論文のテーマが決まらない。変更した。論文に取り掛かるまでの時間が長い。
③データコレクションを自分で行わなればならない。倫理委員会の審査、データコレクションのための資金確保など時間がかかる。
④わざとABD期間を延ばす。その間に博士論文以外の論文を執筆し学術雑誌に投稿する。功績が次の就職活動につながる。
⑤出産をし育児をしながら論文書きが難しい。
⑥博士論文審査委員会のメンバーが論文を読んでくれない。読むのが遅い。
などなど挙げればきりがないのですが⑥は列挙した中でも、深刻な原因で多くのPhDの学生が頭を抱えているのをみてきました。正直に言うとマーク先生は⑥の読むのが遅い教授に入ると思います。そのことを知っているので他の人に比べてかなり早い時期から論文に取り掛かり、今のところ同期の中では私が一番卒業に近いと考えられます。ただしブログに以前登場したパキスタン人の友人は今年の3月記録的な早さ(3年未満)でPhDを卒業しました。彼はものすごく頭がいいのと、お子さん2人と奥さんが故郷で待っていることもありかなり頑張って先生の協力も得、卒業しました。
同じくマーク先生を審査委員会に持つPhD5年目の友人がいるのですが、この5月に卒業ができなくかなり落ち込んでいます。マーク先生、早く彼女の論文を読んで卒業させてあげて!と思うのですが卒業の目途はたっていません。恐ろしや。彼女は論文の取り掛かりが遅かったので卒業が延び延びになってしまいました。
読むのは遅いけど私の場合はマーク先生が私の教授でよかったと思います。移民の勉強をするのは大学院ではこの先生しか思い浮かばないし、放任主義の教授ではないし、学生を大切にしてくれる。几帳面であとは相性が合います。Disorganizedの先生にあたるほうが嫌です。
博士論文にしっかりと目を通すこともなく卒業させる教授も中にはいたりしてびっくりするのですが、教授選びはPhD取得までの運命を左右するといっても過言ではありません。今からPhDで勉強する方、教授選びを慎重にしましょう。
最後にアメリカのPhD学生なら誰でもが知っていると思われるPHDcomicsより漫画です。この漫画に登場する学生の気持ちがよくわかる!